スマホ診ラボ

オンライン診療 学び | 医師監修

オンライン診療の利用方法とメリット

目次
オンライン診療とは?
オンライン診療のメリット
一般的な利用の流れ
オンライン診療の費用
オンライン診療の受診できる条件

※この記事は2020.5.13に内容を更新いたしました

オンライン診療とは?

オンライン診療とは、スマートフォンやPCのビデオ通話機能を活用して、医療機関に対面で診察を受けに行かなくても医師の診察が受けられる受診方法です。

旧来は「遠隔診療」と呼ばれていましたが、遠隔地でなくともITデバイスを活用して診察を行うケースも含むため近年は「オンライン診療」と呼ばれるようになりました。

このオンライン診療ですが、2018年3月に厚生労働省から医療機関向けに医療の質を維持するためのガイドラインが出されたこと、また、2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴った“初診対面の原則”の時限的な規制緩和により、徐々に浸透しはじめています。

オンライン診療のメリット

オンライン診療には患者さま、医療機関の双方において様々なメリットがあります。

患者さま視点では、自身の都合に合わせて自宅や職場などで診察を受けることができるため、従来の通院と比べて病院やクリニックに行く時間、受付・診察・会計の待ち時間などが軽減され、より多くの人がストレスを感じずに手軽にかつ継続的に治療を受けられることが期待できます。

医療機関の視点では、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症が流行している際の院内感染の防止に加えて、経営面でも院内業務の効率化、省スペース化が期待できます。

一方で、オンライン診察では、患者さまから対面診察と同等の情報が得られないため、視診や触診などが必要となる診察の場合はあまり向いていません。

例えば、初診においては、ほとんどの疾患において診断を行うための検査(医師の視診、触診含む)が必要になりますが、それをオンライン診療で代替することは現在のIT環境では困難です。一部、オンライン聴診器なども出てきてはいますが、普及のためのコストが課題です。

以上のメリットやデメリットから、オンライン診療は、継続的な治療が必要となる慢性的な疾患の“再診”との相性が良く、今後、高血圧症や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病や花粉症などのアレルギー関連の治療でさらに浸透していくことが予想されています。

一般的な利用の流れ

オンライン診療は、一般的に医師の診察だけでなく、予約、会計までオンラインで完結することができます。
おおまかな利用の流れについて、下記に一例をあげてみます。

オンライン初診の流れの例

[1]希望する日時にオンライン診察を予約
[2]予約した日時にオンライン診察(ビデオ通話など)を受ける
[3]医師の診断とお薬の処方
[4]クレジットカードでお会計
[5]処方箋の原本が自宅へ届く
[6]処方箋の原本を調剤薬局に持参し、お薬を受け取り

ビデオ通話の方法は医療機関によって異なります。予約や支払いがワンストップで実現できるオンライン診療専用のスマートフォンアプリ(要インストール)を採用しているクリニックが最も多いですが、ワンタイムでビデオ通話専用URLを発行して診察を行うクリニックや、LINEなど普及しているビデオ通話サービスを活用しているクリニックもあります。

また、薬剤の受け取りについては、処方箋を発行しないで病院やクリニックの中で薬剤を処方する“院内処方”を採用している医療機関もあります。
この場合、医療機関から自宅に薬剤が郵送されますので、調剤薬局に行く手間もなく、より便利にワンストップで受診ができます。

オンライン診療の費用

さて、このように利便性に優れているオンライン診療ですが、どのぐらいの費用負担で受診できるのでしょうか。

結論から言うと、現在のところは、対面診察と同等の自己負担で診察を受けることができます。
また、管理料などが算定されている患者さまの場合は、対面診察よりも費用負担が下がるケースもあります。

オンライン診療は、2018年4月の診療報酬改定に伴い、公的医療保険の適用が認められました。
同年の改定で新たに新設されたオンライン診療関連の診療報酬は「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」です。2020年4月の診療報酬改定では、「オンライン医学管理料」は廃止され、「特定疾患療養管理料(情報通信機器を用いた場合)」として新設されました。

オンライン診療の診療報酬

・オンライン診療料:1カ月につき71点
・特定疾患療養管理料(情報通信機器を用いた場合):1カ月に100点

※「前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間が2月以内の場合に限り、オンライン医学管理料として、100点に当該期間の月数を乗じて得た点数を月1回に限り算定する」

出典:厚生労働省「医科-医学管理等」1/18 – 2/18

オンライン診療料は、診察料として再診料(対面診察)の代わりに算定できるものであり、再診料は73点となっているため、保険診療では対面診察と同等の診察料でオンライン診療を受けられることになります。(別途、通話料や送料などの保険外負担がかかることもあります。)

ただ、保険診療の場合、オンライン診療を受診できる条件が限られているため、全ての患者さまがオンライン診療受けられるわけではありません。

そこで次項では、保険診療でオンライン診療を受けるための条件、自費診療との違いをご説明します。

オンライン診療を受診できる条件

1. 保険診療と自費診療

保険診療か自費診療(自由診療)かによって、オンライン診療を受診できる条件が変わってきます。
まずは、保険診療と自費診療について確認したうえで、オンライン診療における保険診療と自費診療がどのように異なるのかを見ていきましょう。

保険診療

健康保険や国民健康保険の公的医療保険制度が適用される診療を指します。
保険診療では、健康保険法やその療養担当規則に基づき、診療や治療の内容が細かく規定されています。

治療を受けるには、それぞれ「条件」が定められており、例えば、ある疾患に対してどういう治療であれば保険適用になるのか、どういう薬剤が処方できるのかなども子細に決められています。また、「この治療はいくら」という基準(≒診療報酬点数)があるため、病院やクリニックが勝手に価格を変更できません。

医療保険制度がこのような自由度のない仕組みとなっている理由は、万人が適切な医療を受けられるという“医療の公共性や公平性”の制度設計の思想、患者が窓口で支払う費用(1割または3割)以外は、公的機関が国民の税金から医療費を負担していることによります。

自費診療

一方、自費診療とは、言葉の通り健康保険が適用されない治療全般のことを指します。
自費診療と聞いてまず思い浮かぶのは、二重まぶた整形などの美容整形や、美容皮膚科での医療脱毛、歯科診療のインプラント治療、AGA治療やED治療などではないでしょうか。

自費診療は、保険診療とは違って治療内容や価格に制限がなく「自由診療」とも呼ばれます。たとえば、インフルエンザの予防接種の費用が病院やクリニックによって金額が異なるのはこのためです。

ただし、この“自由”というのは、「なにをやってもいい」という意味での“自由”ではありません。医師法や医療法に則った医療行為である必要があり、例えば、「医師がきちんと診察・診断し、処方する薬を決めなければならない」という制約は発生します。

また、自費診療の治療を受けた場合、その名の通り、患者は病院やクリニックが独自に設定した診療の金額をすべて個人で負担する必要があるため、高額になるケースが一般的です。

自費診療は、保険診療では対応することができない患者のニーズに応えることができるため、社会や消費の二極化が進むに従って、さまざまな領域において利用する方が増えています。

病気の治療や予防など、身体生命の維持保全のための旧来の医療(保険診療)に限らず、美しく豊かな生活のための新しい医療の形を提供できるもの自費診療です。

2. オンライン診療を受診できる条件の違い

保険診療か自費診療かによって、オンライン診療を実施するために満たさなければいけない要件が異なります。
主なポイントは以下のとおりです。

保険診療の場合(オンライン診療料を算定するケース)
・初診対面必須
・3ヵ月以上の対面診療を経て、オンライン診療の受診が可能
・緊急時におおむね30分以内に通院・訪問可能な体制
・受診できる疾患が限定
自費診療の場合
・初診対面必須
・初診対面以降(2回目から)は、医師の判断によりオンライン診療の受診が可能
・対面による診療の間隔は、医師の判断により決定

まず、初診での対面診察は自費診療の場合でも共通となっており、必ず必要になります。
初診対面の原則は、保険診療のルール(つまり健康保険法)ではなく、医療法の観点から医療の質を維持するための必須条件となっているため、医療行為である限り必要な条件となっています。

その上で、保険診療についてはより厳しい条件があり、継続して対面診察を実施した期間が3ヶ月以上あることや、対象となる疾患などが規定されています。

また、緊急時におおよそ30分以内に対面診察ができる診療体制、つまり患者の居住区域もクリニックから現実的に通える範囲に限定されます。(但し、電話等再診という算定方法を行う場合はこの限りではありません。)

このように、保険診療と自費診療ではオンライン診療を受診するためのルールが異なり、現状では、自費診療のほうがより“時短”や“手軽”などのメリットを享受することができそうです。

ただし、自費診療の場合は自己負担も高くなる傾向にあるため、それぞれのメリットとデメリットを理解して自身にあった診察方法を選ぶと良いと考えられます。



出典:
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針(案)」p19
厚生労働省 「医科-医学管理等」
厚生労働省 「保険診療の理解のために」p7
日本医師会 「情報通信機器を用いた診療に関する検討委員会報告書 」P4『(4)オンライン診療を行う場所』
日本医師会 「オンライン診療の現状と課題」p1
田辺三菱製薬 「診療報酬はやわかりマニュアル」 医学管理等/オンライン医学管理料、特定疾患療養管理料、特定疾患治療管理料
「医師法」『第四章 業務』





当クリニックのオンライン診療サービス「スマホ診」では、保険診療、自費診療ともに採用しているため、患者さまと医師との相談で最適な受診方法を提案させていただきます。
また、院内処方も採用しているため、オンライン診療後、決済が完了すればクリニック内でお薬を処方・梱包し、直接ご自宅にお送りすることができます。詳しくはクリニックホームページをご覧いただくか、メールや電話でお気軽にお問い合わせください。



追記:2020年5月時点では、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴う時限的な措置として、初診においてもオンライン診療が認められています。この場合でも、流行の終息後には一度対面診察を受けていただく必要があります。




この記事の執筆者

Dクリニック東京ウェルネス 事務長
酒井 真彦 (さかい まさひこ)

【略 歴】
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、
早稲田大学ビジネススクール(MBA)修了
大手製薬会社、リクルートライフスタイル等で
医療・ヘルスケア領域の新規事業企画を担当した後、
医療法人社団ウェルエイジングにて
Dクリニック東京ウェルネスの開院に参画

この記事の監修者

Dクリニック東京ウェルネス 院長
渡邊 康夫 (わたなべ やすお)
【略 歴】
日本大学医学部大学院修了。
日本大学医学部付属練馬光が丘病院 内科,日本大学医学部附属板橋病院 救命科CCU,川口市立医療センター 循環器科,東京臨海病院 循環器科,敬愛病院 敬愛病院附属クリニックでの勤務を経て、現在に至る。

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