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高血圧 学び | 管理栄養士監修

コーヒー、お茶と高血圧予防

目次
コーヒーの血圧降下作用
お茶の血圧効果作用について
ココアの血圧効果作用について
特定保健用食品の血圧降下作用について

コーヒーの血圧降下作用

コーヒーがいつころから利用されてきたかは諸説ありますが、原産地のエチオピアでは古くから利用されており、カフェインやポリフェノールなど数千種類もの成分が含まれていることから、もともとは眠気覚ましなどの薬用として飲用されてきました。現在のような、焙煎した豆から抽出したコーヒーが登場したのは13世紀以降であり、嗜好品としての特徴が見出されると、世界中で飲まれるようになったと言われています。

1960年以降、コーヒーと人々の健康や疾患との関係が研究されるようになりました。2000年には、パーキンソン病をコーヒーが予防するという疫学調査結果が発表されました。2004年には2型糖尿病、2005年には肝炎と肝臓癌が予防できるとの発表が相次ぎました。

コーヒーと血圧の関係については、近年、大規模研究により、1日3〜6杯のコーヒーを習慣的に摂取することで、習慣的に摂取していない人に比べて、高血圧リスクを低下できるという報告がなされました。コーヒーに含まれているコーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)は、抗酸化作用により、酸化ストレスに繰り返し曝されてきた血管壁を修復し、高血圧を改善することが期待されています。かつては、コーヒー摂取によって、カフェインが体内に取り込まれ、血中のアドレナリン濃度が上昇し、急性な血圧上昇が報告されていました。しかし、この血圧上昇は一時的なものであり、習慣的な摂取が高血圧のリスクになることは考えにくいようです。コーヒーの適切な摂取量は、カフェインの過剰摂取を避けるためにも、1日3杯程度が良いでしょう。また、肥満が気になる方は、ミルクやお砂糖の量にも気をつけましょう。

しかし、なぜコーヒーが高血圧や様々な疾患を予防するのかは未だにわかっていません。ポリフェノール以外にも血圧を降下させる作用があるかもしれません。もし、疾患予防を発揮している成分の特定ができれば、その成分に特化したコーヒー飲料が開発できるかもしれません。

お茶の血圧効果作用について

お茶は中国原産であり、その利用は何千年も昔にさかのぼります。お茶は発酵の程度により、緑茶(不発酵茶)、ウーロン茶(半発酵茶)、紅茶(発酵茶)に分類されます。特に緑茶は現在で、世界で最もよく飲まれている茶飲料です。緑茶をたくさん飲む人は様々な疾患にかかりにくいという疫学調査があることから、健康への効果が注目されています。

高血圧予防に効果があるとされるお茶に含まれる物質には、カテキン、テアニン、GABAがあり、平滑筋収縮の緩和作用や、血管の炎症修復作用、抗酸化ストレス作用など様々な働きによって血圧を下げると考えられています。さらに、緑茶の習慣的な摂取は、高齢者において、脳梗塞、認知症、骨粗鬆症といった機能障害のリスクを低減することが、日本人を対象とした大規模研究で明らかにされています。

緑茶は、コーヒーと同様に多くのカフェインが含まれています。過剰摂取に気をつけましょう。カフェインの含まれていないルイボスティーには、抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれていますので、血圧降下作用が期待できるかもしれません。紅茶と同様、完全発酵茶に分類され、南アフリカのみで自生する植物から作られるお茶です。ヨーロッパでは紅茶の一つとして、以前より飲まれていました。最近は、ペットボトル飲料やティーパックとしてコンビニやスーパーでも手に入ります。著者もすっきりした味わいが好きで、よく購入して飲んでいます。妊娠・授乳中などでカフェインの摂取を控えたい方、夜眠る前などには、ルイボスティーなら量を気にせず飲んでいただけると思います。

ココアの血圧効果作用について

ココアやチョコレートにも、高血圧の予防効果が報告されています。ココア、チョコレートの原料であるカカオには、抗酸化作用を持つポリフェノール類が含まれています。近年は、ポリフェノール含有量の高いチョコレートなどのカカオ製品をよく見かけます。

カカオに含まれるポリフェノールは、フラバノール(エピカテキンなど)のモノマー、オリゴマー、ポリマーなど複数の化合物の総称であり、その含有量は製品によってかなり幅があるようです。そのほかの含有成分の効果については、検証の途中であり、ポリフェノール類が単独で血圧を下げる機能を担っているのかはわかっていません。

カカオ製品中には他にも多様な成分が含まれており、また、カカオ製品の多くは、エネルギーや糖質、脂質を多く含有しています。ポリフェノールの効果のみに注目し、食べ過ぎてしまうと、エネルギーや糖質、脂質の過剰摂取により、肥満など、望まない健康への影響が出てしまう恐れもあります。また、チョコレートやココアには、カフェインも含まれています。妊娠中・授乳中の方の多量の摂取は危険性が示唆されています。

特定保健用食品の血圧降下作用について

厚生労働省によると、特定保健用食品(トクホ)は、「生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品」と定められています。

血圧が高めの方に適する食品として、たくさんの食品、飲料が販売されています。テレビのコマーシャルでもよく見かけますね。コンビニやドラッグストア等でも容易に購入することができます。トクホは消費者庁による有効性・安全生の審査を受け、さらに、有効性については研究雑誌に掲載されていることなどが条件となっています。日々の生活習慣を整えながら、トクホの商品も利用してみると、さらに効果が上げることが期待できます。

最後に

コーヒー、お茶、ココアには、どれも高血圧に効果があります。飲用することで、精神的な安定が得られることも、降圧効果に繋がっていると考えられています。しかし、これらの嗜好飲料にはカフェイン等が含まれています。適量であれば、私たちの仕事などのパフォーマンスを手助けしてくれますが、過剰な摂取は健康を害する方向に進んでしまいます。楽しみながら、ゆったり摂取して、高血圧も予防、改善できるといいですね。

この記事の監修者

管理栄養士
上原 優子 (うえはら ゆうこ)
【略 歴】
聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科博士課程修了。管理栄養士。博士(医学)。
聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 研究員を経て、現在は、機能強化型在宅療養支援診療所に勤務し、訪問栄養指導を行っている。

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