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高血圧 学び | 医師監修

高血圧の治療と降圧薬の種類

目次
高血圧治療の効果と目標血圧について
医師と相談して治療方針を固めて継続的な改善を
降圧薬による高血圧の治療と降圧薬の種類と副作用
高血圧の薬の副作用
治療費と薬の値段
治療により血圧が下がれば薬はやめられる

高血圧の推定患者数は4,300万人 *1)とされています。
その中でも、治療を受けている総患者数は1,010万人にとどまるとされ、多くの人が治療を受けていないことが大きな問題となっています。
ここでは高血圧とその治療と降圧薬の種類について、ぜひ知っておいてほしいポイントを解説します。

*1)一般社団法人 日本生活習慣病予防協会「生活習慣病の調査・統計 疾患で見る 高血圧」


高血圧治療の効果と目標血圧について

1. 高血圧治療の効果

高血圧は、治療をしなければ、重大な病気にかかるリスクが高まる疾患です。
しかし、そのリスクとは裏腹に、高血圧はサイレントキラーと呼ばれ、自覚症状もなく気づくことが遅れてしまうことが多い病気のひとつです。
そのため、健康診断等で高血圧の診断を受けた場合には、治療をしっかりと受ける必要があります。

また、高血圧は、きちんと治療を行うことで改善に向けた効果が明らかに出る疾患でもあります。定期的な通院や服薬を面倒だと思う方も多いかもしれませんが、治療をすることで、治療を受けないよりもはるかに良い結果を生みます。

それでは、高血圧の治療にはどのような方法がとられているのか見ていきましょう。
高血圧の主な治療方法としては、血圧を下げる効果のある降圧薬の服用です。
降圧薬で治療した場合と治療しなかった場合を比べた臨床研究が多く行われています。
高血圧に起因して起こる可能性が高くなる脳卒中や心筋梗塞の場合、収縮期血圧(心臓が収縮して血液が送り出されるときの血圧)も拡張期血圧(収縮した後に拡張したときの血圧)も高い高血圧の人たちが、治療により脳卒中の発症率が40%、心筋梗塞の発症率が20%減少したという報告もあります。

参考までに、成人の血圧値の分類を以下に表してみます。


降圧薬の服用とともに、生活習慣の改善を行うことも、高血圧の基礎的な治療法としてすすめられています。

生活習慣の改善は、食塩制限、野菜や果物の摂取とコレステロール制限や飽和脂肪酸の制限、適正体重の維持、運動、アルコール制限、禁煙が基本です。
そう聞くと難しく面倒に感じると思いますが、たとえば、食塩は血圧を上げるだけでなく、心臓や血管に悪影響を及ぼし、動脈硬化などを引き起こすことがあります。そのため、健康に生活するためには食塩を控えるに越したことはありません。

制限の効果には個人差があるものの、食塩摂取量1gあたり上の血圧は1mmHg※くらい、下の血圧は0.5mmHgくらいの降圧が期待できます。
仮に、血圧が「150/100 mmHg」の方が1日食塩摂取量を約11gから約6gに減塩したとします。そうしますと、血圧が「145/97.5 mmHg」と降下される可能性があるのです。 ※mmHgとは、水銀柱ミリメートルと呼ばれる圧力の単位です。

健康志向が強くなり、日本人の食塩摂取は減少傾向にはあるものの、平均して1日約11g摂取されています。しかし、高血圧患者様の場合は6g未満にすることが推奨されています。
また、減塩することで高齢者の方に多くいる、上の血圧の値が高い収縮期高血圧の人にも同様に、循環器病にならないようにする効果が出ており、最近では認知症を予防する効果も認められています。

2. 高血圧治療による目標血圧

高血圧の治療で目標とする血圧は、正常値である「140/90 mmHg未満」です。
しかし、腎臓病や糖尿病の合併症がある患者様の場合は、腎臓への負担を軽減するために、目標値は130/80mmHg未満に設定します。

また、年齢や自覚症状、血管の状態などへの配慮が必要で、かつ、後期高齢者(75歳以上)の場合は、150/90 mmHg未満を目標値とします。
これらの数値は、あくまでも病院やクリニックに通院した際の測定値です。家庭血圧(自宅で計測した血圧の数値)ではさらに5 mmHg低い値を目標値とします。
これは、病院やクリニックで血圧を測ると、自宅よりも高くなりやすい傾向があるためです。

目標血圧*2)
*2)高血圧治療ガイドライン

医師と相談して治療方針を固めて継続的な改善を

健康診断などで高血圧だと診断されたら、できるだけ早く病院やクリニックで再検査を受けるようにしましょう。その後、医師と相談して治療方針を決めたら、目標に向けて継続的な生活改善にも取り組むことが大事です。

高血圧を治療する場合、病院では一般内科を受診することが多いと思いますが、循環器内科や腎臓内科、内分泌内科などで受診しても構いません。
医療機関で受診すると初診時、もしくは初診から数回かけて高血圧かどうかを判断します。普段は正常値でも、血圧が一時的に上昇するケースがあるため、継続的に血圧測定を行う必要があるからです。その際、腎臓病などに由来する「二次性高血圧」でないかどうかもあわせて確認します。
加えて喫煙の有無、脂質異常症や高血糖、内臓型肥満を患っていないか、過去に心筋梗塞などの発作を起こしていないか、脳や眼底、心臓、腎臓、血管などの病歴がないかと細かく調べていきます。

1. 治療法は医師と相談して最適プランを

高血圧の治療は、食事や運動、薬物療法などが中心です。
患者様ご自身で決めるのではなく、高血圧の程度や合併症の有無、普段の生活習慣などをもとに、総合的に判断し医師と相談しながら最適な治療プランを考えることが大切です。

例えば、高血圧の程度が軽~中程度、かつ、そのほかのリスクが少ない場合、食事や運動を軸にした生活習慣改善策を1~3カ月間実施するのがごく一般的です。
それでも改善しない場合、降圧薬を服用するかどうかを医師と相談して決めていきます。
ただし血圧が高く、ほかのリスクなどの心配を抱えている場合は、早めに服薬して治療するケースもあります。

2. 定期的に通いやすく、話しやすい病院選びが重要

高血圧は悪化しないように管理しながら改善を目指す病気です。
症状の度合いやリスクは異なっても、一度、高血圧になると定期的に通院する必要があります。
定期的に通院し、医師や看護師に、自宅で測定した血圧の記録を見せたり、食事や運動内容について話しをしたりして、改善のための指導やアドバイスをもらいます。
高血圧治療には定期的な通院や食事管理等が必要なため、かかりつけ医は自宅から通いやすく、コミュニケーションを取りやすい病院やクリニック、また、事前予約ができ好きな場所から事前相談・診察を受けることができるオンライン診療を選ぶことも方法の一つです。

生活習慣を継続して改善するためには、通院を行い医師や看護師とコミュニケーションをとっていくことがとても大事です。
そのため、生活改善を途中で諦めず継続するためには、周りのサポートも大事になってきます。また生活改善を努力した結果を確認しながら進めると良いでしょう。

降圧薬による高血圧の治療と降圧薬の種類と副作用

高血圧の患者様の多くは、血圧を下げる薬(降圧薬)による治療を受けることになります。
もちろん並行して生活習慣の改善による高血圧の治療も行いますが、一つの方法に固執してしまうことはストレスにもなってしまうため、降圧薬を服用することも大切な治療の一環です。
では、降圧薬にはどのような薬があるのか、グループに分けてみます。(めまいなどの症状が見られる可能性があります)

カルシウム(Ca)拮抗薬
日本で最も使われている降圧薬です。
動脈の血管壁にカルシウムイオンが流れ込むのを抑えることで血管の収縮を防ぎ、血管を拡張させることで血圧を下降させます。一部の薬では、グレープフルーツやグレープフルーツジュースを一緒に取ると、効きすぎてしまうことがあるので服用前に薬剤師に確認するようにしましょう。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
「アンジオテンシンI(ポリペプチドのひとつで、血圧上昇作用を持つ生理活性物質)」という物質は、動脈や副腎皮質で血圧を上げる働きをする「アンジオテンシンⅡ」に変わります。この物質の変化に使われるのがアンジオテンシン変換酵素(ACE)で、その作用を抑えるのが阻害薬です。妊娠中や授乳中の人、高カリウム血症の人は使えませんが、心臓や腎臓を保護する作用があります。
アンジオテンシンⅡ(ARB)受容体拮抗薬
血圧を上げる「アンジオテンシンⅡ」という物質の受容体をブロックして血管を拡張させて、血圧を降下させます。しかし、妊娠中や授乳中の人、高カリウム血症の人は使えません。心臓病や腎臓病の人に向いています。
利尿薬
利尿薬の中で主に使われているのが、腎臓に働きかけてナトリウムの排せつ量を増やして血圧を下げる薬です。高齢者や塩分摂取量の多い人に適しています。尿酸や尿糖を増やすとも言われているため、少量での使用が原則となりますが、これらの服用で糖尿病患者が増加する可能性は少ないとされており、骨粗しょう症を併発されている人にも向くといわれています。
β(ベータ)遮断薬
交感神経が興奮したときに働く「カテコールアミン」という物質が、ノルアドレナリンが心臓にあるβ受容体(アドレナリン受容体のひとつ)に結合すると交感神経系の興奮が起こり、心臓や血管に伝わった結果、血圧上昇に結びつきます。この、結びつきを防ぐのが、β(ベータ)遮断薬です。
交感神経の活動を心臓に伝わりにくくすることで、脈拍や血管の収縮を抑えて血圧を下げます。α(アルファ)受容体にも同時に働く、「α・β遮断薬」という薬もあります。
「狭心症などの心臓病を持つ人」に向いています。喘息の人は使えません。
α1(アルファワン)遮断薬
血管が収縮するときに作用する受容体を遮断することで、血管の収縮を抑えて血圧を下げます。特に早朝高血圧(早朝に血圧が高くなる(135/85mmHg以上)こと)に有効で、脂質異常症を改善する効果もありますが、尿漏れのある人には向きません。

他にも、直接的レニン阻害薬や中枢性交感神経抑制薬や血管拡張薬なども用いられます。 降圧薬治療は、ひとつの薬剤で少量ずつ開始し、血圧の値や副作用に注意しながら徐々に増やしていきますが、中等度以上の高血圧の場合は、最初から2種類の降圧薬を併用したり、多めの量を用いたりする場合もあります。
薬の副作用が怖いという方もいると思いますが、降圧薬で治療した人たちは治療しなかった人よりも脳卒中や心臓病の発症リスクが軽減されることが分かっています。
原則として飲み続けるケースが多いのですが、薬の量を減らしたい方は、生活習慣も改善しながら医師と相談して減らしていきましょう。

*3)高血圧治療の最新事情

メディカルオンライン

高血圧の薬の副作用

先述したグループと同じグループ分けを使って副作用をまとめてみます。
どんな薬にも大なり小なり副作用があるので、副作用を理解していくことで日々の生活改善にも役立つようにしましょう。

カルシウム(Ca)拮抗薬
動悸(どうき)や頻尿、便秘などの症状がまれに見られますが、副作用はほぼなく、多くの患者様に適していると言われています。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
咳(せき)や喉のイガイガなどの副作用がある薬もあります。
アンジオテンシンⅡ(ARB)受容体拮抗薬
むくみなどの症状がでる場合もありますが、副作用がほぼないと言われています。
利尿薬
大量に尿がでることで脱水やミネラル(ナトリウム、カリウムなど)のバランスが崩れる可能性があります。
β(ベータ)遮断薬
気管支喘息の誘発や、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患などの悪化、運動能力の低下などといった副作用が起こることがあります。 めまいなどの症状が見られる可能性があります。

治療費と薬の値段

高血圧による治療費は、具体的にどのくらいかかるものなのでしょうか。
健康保険組合連合会が調べた統計データでは、高血圧症による1カ月あたりの医療費は45〜49歳で6,430円となります。

参考:健康保険組合連合会「平成28年度 生活習慣病医療費の動向に関する調査分析」

しかし、これは高血圧症だけの治療費であって、もし糖尿病や脂質異常症などを併発する場合は、さらに治療費が加算されることになります。治療費の面からも、ほかの病気を合併しないように生活改善をしていくことが欠かせません。

また、医療費を少しでも節約するための方法としては、処方される薬からジェネリック医薬品への変更を検討することです。
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(長い研究開発期間をかけて新しい成分の有効性・安全性が確認された後、国の承認を受けて発売された医薬品のこと)の特許期間が切れた後に他の製薬メーカーが同じ成分を使い、安い価格で製造した医薬品のことを言います。先発品と比較して研究開発期間・有効性・安全性の確認が大幅に短縮されることで安い価格が実現されます。
そのため、ジェネリック医薬品に変えることで、薬の費用負担が約2〜7割に抑えられると言われています。

しかし、成分は先発医薬品と同様でも添加物等が異なるケースもあるため、薬の効きが弱くなったり副作用が出てきたりすることもあるので、医師や薬剤師と十分に相談しましょう。

参考データ:株式会社メディカルリソース「ジェネリック医薬品Q&A」

なお、1年間の医療費が10万円を超える場合、確定申告することで控除を受けられますので、活用することをおすすめします。

治療により血圧が下がれば薬はやめられる

日々の生活習慣の改善はもちろんのこと、処方薬を欠かさず服用することも必要です。
決められた量を決められた日時に服用しなければ、薬の十分な効果は見込めません。
忙しくて服用を忘れた、旅行先に薬を持参するのを忘れたといった理由で服用できなかったために外出先で急に倒れた、という例もあるくらいです。

しかし、薬は一生涯服用し続けなければならないものではありません。生活習慣改善などによって血圧が正常域で安定することができれば、薬の量を減らしたり、中止したりすることもできます。
ただし、血圧が順調に下がったと自己判断し、医師に確認せずに自ら薬を止めることはせず、医師に健康状態を必ず確認してもらい、相談しながら薬の量をコントロールするようにしましょう。

高血圧の治療には定期的な通院はもちろんのこと、日々の生活改善も必要です。
しかし、治療方針を医師と相談しながら、適切な治療を行う必要があると分かってはいても、月に一度の通院の時間が取りづらいと思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
また、不安に思ったときにすぐに相談したいと思っている方もいらっしゃるでしょう。そのような時に活用していただきたいのが、オンライン診療です。

オンライン診療では、ご都合の良い日時に予約ができるだけではなく、ご都合の良い場所で診察を受けることが可能になり、通院する煩わしさを感じることはありません。
その中でもおすすめは、スマホで診察が受けられる、オンライン診療サービス「スマホ診」です。
スマホ診では、オンラインでの事前相談や、オンラインでのビデオ診療ができるので活用してみてください。

この記事の監修者

つなぐクリニックTOKYO 監修医師
MCS東京銀座クリニック 院長
知久 正明 (ちく まさあき)
【略 歴】
日本大学医学部大学院修了・国立甲府病院・国立循環器病センター・日本大学医学部循環器 内科・敬愛病院付属クリニック院長・MCS東京銀座クリニックを開業

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